狩猟普及委員会の宇田川が使用している狩猟道具や有害鳥獣の捕獲・駆除・追い払い道具、その他の役に立つ物の紹介です。
狩猟物品や害獣対策物品を購入する際の参考にしてください。
猟銃や罠の紹介
ボルト式散弾銃:ミロク MSS-20 STD
スコープ:ライト光機1-6×24 イルミ付 ゼロストップ G4
踏み上げ式くくり罠:オリモ製作販売 OM‐30
踏板式小型箱罠:メーカー不明
トリガー式小型箱罠:メーカー不明
加重式(踏板式)中型箱罠:メーカー不明
大型捕獲檻:メーカー不明
ミロクの20GAの単身ボルト式散弾銃のMSS-20STD(平筒※)です。薬室に1発、弾倉に1発入ります。弾倉部の出っ張りがなく、横から見た時にライフル銃のようなスッキリしたシルエットになっています。当たり前ですがボルト式なので連射はできません。
ライフリング加工※されていないのでライフル銃やハーフライフル銃※より有効射程距離や命中精度は劣ります。ただ射撃に関して素人同然の私でも50m射撃(スラッグ弾※:静的立射)で直径50cmの円の中に弾が狙った場所にある程度まとまって当たるので現状不満な点はありません。
※ライフリング加工されていない銃身。別名「スムースボア」
※ライフリング加工とは銃身内部に螺旋状の溝を掘ることで銃弾を回転させ、直進性や貫通性を高めるための加工です。
※ハーフライフル銃とは銃身内部の半分がライフリング加工されている銃で「サボットスラッグ弾」という先端を尖らせ、直進性・貫通性を高めた弾を使用することができます。有効射程距離は「100m~200m」です。※許可要件の厳格化により令和6年7月14日よりハーフライフ銃は「ライフル銃」の分類となりました。今回の規制前にハーフライフル銃を所持していた場合、所持許可証の当該猟銃に係る種類が「ライフル銃及び散弾銃以外の猟銃」となっていればそのまま使用することができます。(現在北海道では特例で猟銃所持10年未満でもハーフライフル銃所持を認められている地域もあるようです)
※スラッグ弾:散弾銃用の様々な種類の弾の1つで、薬莢に入っているのは複数の粒弾ではなく、1つだけの銃弾です。
MSS-20は平筒なのでバラ弾も撃つことも可能ですが、基本的には光学機器を乗せて、中距離にいる獲物や的を狙うスラッグ銃※です。クレー射撃や鳥撃ちには向いていません。(なかにはこの猟銃でスコープを乗せたままクレーを撃ち落としている猛者もいるようです…)
このタイプの銃を1丁目に購入した場合、一部の猟友会員の方からグチグチ言われる可能性があります。(どちらかと言えば忍び猟に向いている猟銃であり、巻狩りに参加し、自分が待機しているエリアに獲物が向かってきた際、連射できないので1発で仕留められるスキルの無い経験の浅い狩猟者には分不相応)
もしもそう言われた場合は「ハハハ、ソウッスネ!」という便利な言葉で乗り切りましょう。
私は山林での取り回しを良くするために銃砲店で銃身の先端を少し切り詰めてもらい(法規制内)、また発砲の反動で胸を痛めるのを防ぐため銃床部パッドを柔らかいものに交換しています。
⇒ ミロク MSS-20 STD(ガンショップ栄興)
スコープ:ライト光機 1-6×24 イルミ付 ゼロストップ G4
MSS-20に乗せているスコープです。値段の割には明るく見やすいスコープだと思います。
そこまで多くのスコープを使ったことが無いため詳しいことは言えませんが、現状不満な点はこれといってありません。ただこういった光学機器はカメラのレンズと一緒で価格が高くなればなるほど、対象が明るく鮮明に見えたり、細かい調整がしやすかったりするものです。
ただ射撃場でゼロイン調整を行えば弾が大きく外れることはありませんし、猟場でもそこまで遠距離の獲物は撃つことは無いので、現状このスコープで満足しています。
北海道の広大な牧草地帯で100m~200m先のエゾジカなどをハーフライフル銃やライフル銃で狙撃する場合はより高倍率のスコープが必要かもしれません。
⇒ ライト光機 1-6×24 イルミ付 ゼロストップ G4(f-range)
踏み上げ式くくり罠:オリモ製作販売 OM-30
ステンレス製の踏み上げ式くくり罠。通称は「弁当箱」です。
獲物が踏板部分を踏むと踏板が下がり外側のアームが立ち上がり、アームからワイヤーが外れてバネの力でワイヤーを締めます。跳ね上がる力とアームが立ち上がることにより獲物の足上部を捕らえます。
…と公式HPに記載されていますが、まれに「空ハジキ」※が起こります。
※踏まれたことで作動はしたが、何らかの影響にでしっかりと足が括られずに捕獲に失敗すること
柔らかい土であれば正常に動作しますが、雨などによって土が固くなることで罠本体のアームの動きが悪くなることが原因の1つだと思われます。罠を設置した場所の土が固くなってしまった場合は、再度仕掛け直したほうが良いかもしれません。
※どなたかもっと良い解決策を知っている方がいましたらご教授くださいm(_ _)m
「空ハジキ」は罠に対しての警戒心を高めてしまう(スレてしまう)NG行為です。特にイノシシは嗅覚が特に優れており、とてもスレやすい動物なので可能であれば1発で捕獲するようにしましょう。
※袋出しの状態だと警戒心の強いスれた個体には、金属や油の匂いで設置した場所がバレてしまうので、2日程水にに付け込んだ後に使用しています。(気休め程度ですが)
⇒ オリモ製作販売 踏み上げ式 OM-30型 (オリモ製作販売株式会社)
踏板式小型箱罠:メーカー不明
ホームセンターなどでも店頭販売されている小型箱罠です。罠の中に設置したエサで対象の動物を誘引し、内部にある金属板が踏まれると開閉口が閉まるシンプルな作りの箱罠です。ハクビシン、タヌキ、アライグマなどの小型の野生動物の捕獲に適しています。
※ハクビシンなどを罠を利用し捕獲するには基本的には「わな猟免許」が必要です。
※自治体によっては役所で捕獲許可申請を行えば、条件付きで「わな免許未所持の方」でもハクビシンなどを小型箱罠で捕獲することが可能となる場合があります。許可申請を行わずに罠を使用し、捕獲した場合は刑罰の対象となりますのでご注意下さい。ハクビシンなどによる獣害でお困り方はお住いの地域の役所に確認してみましょう。
トリガー式小型箱罠:メーカー不明
罠内部にあるトリガー部に誘因物を取り付け、対象の動物がそのエサを引っ張るとトリガーと連結している罠上部のつっかえ棒がスライドし、開閉口が落ちるタイプの小型箱罠です。ハクビシン、タヌキ、アライグマなどの小動物の捕獲に適しています。
※ハクビシンなどを罠を利用し捕獲するためには基本的に「わな猟免許」が必要です。
※自治体によっては役所で捕獲許可申請を行えば、条件付きで「わな免許未所持の方」でもハクビシンなどを小型箱罠で捕獲することが可能となる場合があります。許可申請を行わずに罠を使用し、捕獲した場合は刑罰の対象となりますのでご注意下さい。ハクビシンなどによる獣害でお困り方はお住いの地域の役所に確認してみましょう。
加重式(踏板式)中型箱罠:メーカー不明
誘因物を中に設置し、それを食べようと対象動物が内部に入り、床に重さが加わることにより、連結している罠上部のつっかえ棒がスライドし、開閉口が落ちるタイプの中型箱罠です。ハクビシン~ニホンザル(※有害鳥獣指定)程度の大きさの野生動物の捕獲に適しています。
大型捕獲檻で対象動物を捕獲後、大型捕獲檻の開閉口にこの中型箱罠をセットし対象動物を大型捕獲檻から追いたて、こちらの中型箱罠側に移すことによりその後の対応をスムーズに行うことが可能になります。
大型捕獲檻:メーカー不明
現在の現場ではアニマルセンサーを取付け、ニホンザル(※有害鳥獣指定)を捕獲するために使用しています。アニマルセンサーと併用した場合、センサーが反応した瞬間に開閉口が落ちるので1度に捕獲できる数はその時檻の中の状況によって変化します。同時に複数匹捕獲できることもあれば、1匹しか捕獲できない時もあります。
※リモート機能のついたIoT機器などとセットで使用すれば、エサで対象の動物誘因し、複数匹が檻の中に侵入したところを作業者の任意のタイミングで開閉口を落とし、1度に複数匹を確実に捕獲することが可能になります。
捕獲補助や捕獲後に使う道具の紹介
アニマルセンサー2:(株)アイエスイー
レーザーボアサイター:Amazonで¥3000くらいの物
センサー式トレイルカメラ:Amazonで¥5,000~8,000のもの
サルキャッチボール:自作
電気ヤリ:オーエスピー商会 電気止め刺しキット(2本ヤリ)
大型獣を脳震盪させるための棒:Amazonで購入
くくり罠用スコップ兼ナイフ:仁作 レジャーナイフ 波刃型
アニマルセンサー2:(株)アイエスイー
大型捕獲檻や中型箱罠に取り付けて使用しています。
あらかじめ設定したエリアに対象動物が侵入するとセンサーが反応し、上部のマグネットが外れ、ワイヤーで連結している開閉口が落ちる仕組みの捕獲用機器です。
操作パネルの裏面にはセンサー感知部があり、対象動物がそのセンサーの真正面に来ないと反応しません。また対象動物がセンサー部にかなり近寄らないと反応してくれず(30~40cm)、大型捕獲檻で使用する場合はいかに対象動物をセンサーの反応エリアに誘導するかが試される機器です。
⇒ アニマルセンサー2(株式会社アイエスイー)
レーザーボアサイター:Amazonで¥3000くらいの物
レーザーでスコープ調整の補助を行える機器です。銃口に合った星型の留め具を取り付け、ドライバーで留め具のネジを回して銃口に合うように留め具をドライバーで調節し、ボアサイターを銃身の中に突っ込みます。そして真っすぐにレーザーが飛ぶように微調整します。
ガンレスト(猟銃を固定する台)と猟銃を良い感じの位置にしっかりと固定したら、スポッティングスコープ(遠くまで見れる単眼鏡)でレーザーの位置を確認し、スコープのレティクルの中心とレーザーの点が的紙の円の中心に来るように合わせます。その後ガンレストを動かさないよう慎重にボアサイターを取り外し、実弾を使った本格的なゼロイン調整を行っていきます。
これが無いからといってゼロイン調整ができないという訳ではありませんが、使用する弾を無駄に消費せずに調整を行えるのであったら便利な機器です。
※レーザーボアサイターだけでスコープ調整しても、銃弾は緩やかな放物線を描きながら落ちていくため、最後には必ず実弾を使い、スコープ調整を行う必要があります。
※過去に¥1,500くらいの薬莢型のレーザーボアサイターを購入しましたが、レーザーが50m先の的紙に全く届いていませんでした。もし購入するのであれば、実績のあるメーカーのものを購入したほうが良いと思います。
トレイルカメラ:Amazonで¥5,000~8,000のもの
くくり罠や箱罠を設置した場所の近くの樹などに巻き付け、センサーエリアに動くものがあれば自動で動画・画像を撮影してくれます。
また農地に侵入する加害個体を特定できたり、農地の防獣柵や山林内に仕掛けた罠に対して野生動物がどのような反応を示しているかなども確認できるため、獣害に悩んでいる方やわな猟初心者の方は1台くらいは持っていても損はしない物だと思います。
Amazonで¥5,000~¥8,000のものを数台購入しましたが、同じ価格帯のトレイルカメラでもメーカーによってアタリハズレが多いので注意が必要です。
また記録媒体がmicroSDカードやSDカードのもの。ソーラーパネル搭載のもの、単三電池が4本必要なもの・8本必要なものと様々なタイプがあります。
私は盗まれた経験はありませんが、カメラの盗難が頻繁に起こる地域も残念ながらあるようです。そのような危険性もあるのでわざわざ高額な物を購入する必要はないと思います。もし絶対に盗まれたくない物であれば、盗難防止のために何らかの対策を講じる必要があると思われます。
サルキャッチボール:自作
大型捕獲檻に設置していたニホンザル(※有害鳥獣指定鳥獣)誘因用の大豆が鳩などに食べられてしまうことがあった為、その防止策として近くのホームセンターで材料を購入し自作しました。
2つの金ザルのフチに数か所穴を開け、取り外し可能タイプの結束バンドで金ザルを固定し、ボールのような形にします。金ザルの中には誘因用の大豆を入れます。
金ザルを揺らしたら大豆がポロポロと落ちる程度の大きさの穴を底に数か所開け、最後に大型捕獲檻にぶら下げるためのカラビナとロープをつければ「サルキャッチボール」の完成です。設置した当初は若干警戒されまていましたが、次週には子ザルがぶら下がって遊んでいました。
電気ヤリ:オーエスピー商会 電気止め刺しキット(2本ヤリ)
2本タイプの電気ヤリです。オーエスピー商会が販売する2本タイプの電気ヤリキットは、ヤリの柄となる塩ビパイプやポータブル電源などを別途購入する必要があります。オーエスピー商会の2本ヤリの先端はH型の塩ビパイプですが、そのままだと格子の狭い箱罠にヤリが入らないのではないかと思い、H型の塩ビパイプの真ん中の部分をノコギリで切断し、一般的な2本ヤリにしてしまいました。
猟銃が使えないエリアでくくり罠や中型箱罠で捕獲した狩猟動物などの止め刺しに使用しています。ヤリを2本用意する必要がありますが、アースが取れない場所でも使用できるのがメリットです。
⇒ 電気止め刺しキット くくり罠用2本槍(有限会社オーエスピー商会)
大型獣を脳振盪させるための木刀:Amazonで購入
Amazonで見かけ、つい購入してしまいました。猟銃が使用できないエリアで電気ヤリやナイフで止め刺しを行う前に対象の動物の後頭部を殴って、脳振盪を起こさせれるために使おうと考えていますが、まだ実際に使用したことがないので効果はまだ分かりません。素振り用の木刀なので1.6kg(115cm)とまぁまぁの重さがあります。
※人差し指と中指で挟んで振り回すと指が折れる可能性があります。注意しましょう。
⇒ 剣道木刀 水に沈む木刀素振り用木刀(Amazon)
スコップ兼ナイフ:仁作 レジャーナイフ 波刃型
くくり罠を設置するための穴を掘るときなどに使用しています。
横幅がそこまで広くないので、土をかき出すのは得意ではありませんが、波刃がついているので、土中の根ぐらいだったらハサミなどを使わずに、そのままギコギコと根を切断できます。防錆ステンレススチールなので錆びにくいところも気に入っています。
⇒ 仁作 レジャーナイフ 波刃型(Amazon)
安全管理のための道具の紹介
ハチ撃退スプレー:スーパー等で購入
クマ撃退用スプレー:TW-1000ペッパージャイアント/OC-17/TW-1000スタンダード2
タクティカルライト:OLIGHT WARRIOR X4
ウィンドストームホイッスル:All-Weather Whistle Company
クマ鈴(消音機能付き):Amazonで手頃なもの
ハチ撃退スプレー:スーパー等で購入
くくり罠で捕獲された大型獣は逃げようとして、足にワイヤーがくくられた状態で暴れまわります。そのためくくり罠で捕獲した大型獣は見回りに来た時点で足に出血を伴う怪我をしているケースが多く、血の匂いを嗅いだスズメハチやアブなどが寄ってきています。
捕獲した獲物はその場から運び出さなければならないため、春~秋にかけての有害鳥獣捕獲業務の従事者の作業中の安全性を高めるために無くてはならないモノの1つです。
⇒ ハチアブマグナムジェット (Amazon)
⇒ スーパースズメバチジェット (Amazon)
クマ撃退用スプレー カールホーネック
TW-1000ペッパースーパージャイアント/ポリスマグナム OC-17
クマ撃退スプレーです。トウガラシに含まれるオレオレジンカプサイシンを含んだ液体を噴射します。噴射する場合はクマの顔面に向けて噴射しましょう。また必ずスプレーの特徴や噴射距離・噴射時間なども事前に確認しておきましょう。
画像右側のTW-1000(ペッパースーパージャイアント400ml)の噴射距離は約7m。連続噴射時間は約14秒。リキッドタイプ(ジェット式)のスプレーで霧状のフォグタイプ(噴霧式)に比べ、風の影響をあまり受けずに液体を噴射することができます。
画像左側のポリスマグナムOC-17(105ml)は噴射距離が約5m。噴射時間は約2.5秒です(個人的にはこれに命を預けるには少し気が引けます…というか噴射時間短すぎ…)
至近距離でクマと出会った際は、自分の顔面や首を両腕でガードしつつ、クマに背を向けずにゆっくりと後退するのが基本的なクマとのやり過ごし方ですが、至近距離で遭遇したクマが興奮状態にあり、威嚇攻撃をするためにこちらへ向かって来る可能性もあります。故にクマが多く出没するエリアに行く場合はスプレーはリュックやバッグなどに入れず、すぐにスプレーを取り出し噴射できるよう携帯することが大切です。
⇒ TW-1000 ペッパースーパージャイアント400ml (Amazon)
クマ撃退スプレー:TW-1000 ペッパースタンダード2
OC-17の安全クリップを紛失してしまったため、新しくTW-1000のペッパースタンダード2を購入しました。容量63mlのリキッドタイプ(ジェット式)のスプレーです。霧状のフォグタイプ(噴霧式)に比べ、風の影響をあまり受けずに液体を噴射することができます。
ペッパースタンダード2の噴射距離は約4~5m、噴射持続時間は約15秒です。
ポリスマグナムOC-17と比べ、こちらの方がコンパクトなのに長時間の噴射が可能です。また不意の誤射を防ぐフリップ・トップ・キャップ式のため安全装置などを無くすことがありません。(はじめからこちらを買えば良かったと若干後悔しています・・・)
⇒ TW-1000 ペッパースタンダード2(Amazon)
タクティカルライト:OLIGHT WARRIOR X4
強力な光を発するクマの目くらまし用ライト(タクティカルライト)OLIGHT WARRIOR X4です。最大出力は2600ルーメンで最大光度は99,310カンデラです。最大630メートル先まで照射可能です。ライトの尻にあるテールスイッチを押すことで発光します。ライトの明るさは3段階調節可能。強力な光を点滅させるストロボ機能もついています。家庭用の懐中電灯とは比べ物にならないほど強烈に眩しい光を発します。
上記のタクティカルライトは日の出時や日没時など薄暗く熊が出没しやすい時間帯・場所を歩く際には必ずライトを付けて歩き、ライトの光によって近くにいる熊に自分の存在を伝えます。また10m程離れている熊が興奮状態にあり、威嚇攻撃のためこちらに向かってきそうな状況でも強烈な光を熊の目に当てることよって一瞬だけ熊をひるませることができます。下手をすれば大怪我を負うような状況において、少しの間でも熊の注意を逸らすことは、自分の身を守るうえでは貴重な時間です。怯んでいる隙に撃退スプレーを噴射する用意ができますし、もし撃退スプレーが無ければ威嚇攻撃に対して人のバイタルゾーン(顔面、首、脇、腹部など)を守る行動をとることができます。このライトだけでは確実に熊を撃退する力はありませんが、熊が多く出没する地域の方は持っていても損はないと感じます。
また山に入る際は、日が落ちれば真っ暗闇になるので、もしもの時を考え上記のライトに限らず懐中電灯やヘッドライトは必ず持っていきましょう。
⇒ OLIGHT WARRIOR X4(Amazon)
山林などのクマが出没しやすい場所で作業する時は、Amazonで購入した安物のマガジンポーチにOLIGHT WARRIOR X4とTW-1000ペッパースタンダード2を入れ、腰ベルトに装着してすぐに取り出せるように携帯しています。
⇒ マガジンポーチ(Amazon)
ウィンドストームホイッスル:All-Weather Whistle Company
驚くほどの大きな音が出るホイッスルです。人命救助の為に特別にデザインされました。その優れた性能から米海軍や米国の警察機関で実際に使用されているそうです。
とにかくうるさく、思い切り吹くと自分の耳の鼓膜がおかしくなってしまう程の音が出るので、両耳を塞いだ状態で吹いています。
くくり罠を設置する前や、春~秋にかけて単独で倒木・落石処理など林道作業する際には熊に会いたくないので、車から降りたらとりあえず一発思い切り吹いてから作業に移るようにしています。「クマ鈴と同じ理由で人間が近くにいることをクマに気付いてもらうこと」が大切です。若干サイズが大きくなりますが、更に大きな音がでる「ストームホイッスル」という商品も同社から販売されています。
また上記で紹介したタクティカルライトも同様ですが、狩猟中や登山中に滑落し動けなくなって遭難したり、大地震が起きて建物が崩れて外へ出れなくなってしまったりした時、救助隊員などの第三者に見つけ出して欲しい時にも役に立ちます。
⇒ ウィンドストームホイッスル(Amazon)
クマ鈴(消音機能付き):Amazonで購入
「猟師のくせにクマ鈴なんて日和やがって」と思われる方もいるかもしれませんが、「わな猟」において「クマ鈴」はなくてはならない物だと思っています。一般的にくくり罠は山林内の「ケモノ道」(もしくはその近辺)に仕掛けます。ケモノ道は様々な野生動物が使用しており、もちろん熊も通ります。
くくり罠を設置するときは、穴を掘ったり、土中の根を切ったり、くくり罠本体を設置したり、罠の周辺に誘因物を撒いたりと「しゃがんだ姿勢+下を向いたまま行う作業」が多く、周囲の様子を確認するのをつい忘れがちです。そのような場合は必ず音を出して、人間の存在を熊に伝えて向こうがが遠ざかってくれるのを期待しましょう。
熊が多く出没するような地域で使用するクマ鈴は「音が大きく、高い周波数の音(キーンというような山林では異質な音)が鳴る物」でないといけません。クマ鈴と言ってもピンキリです。音が小さかったり、低い音だったりすると、熊が気付かない可能性があります。
ちなみにクマ鈴を忘れてしまった場合は「スマホの中に入れてある曲を大音量で流す」というのもアリだと思います。ハードロックやメタル系の激しい曲が良いと思います。ヘドバンしながら山に入りましょう。熊はもちろんのこと、人も近寄って来ないでしょう。ただそういった曲に限ってイントロは静かで落ち着いた感じだったりするので注意が必要です。「安全第一」でいきましょう。
ちなみに上画像のクマ鈴の場合、1つだけだと音量が頼りない感があるので、もし熊の出没多発地帯で単独作業する場合は、同じものでなくても良いのでもう1つ鈴を携帯した方が良いかな?と個人的には思いました。
⇒ 消音機能付きクマ鈴(Amazon)
解体時に使用する道具の紹介
解体用ハンガー(大):猪鹿庁ハンターズショップ
止め刺し兼血抜き用ナイフ:COLD STEEL ボーイブッシュマン
解体用ナイフ:モーラナイフ コンパニオン ヘビーデューティ/ステンレス
解体時用ゴム手袋:ニトルリグローブ パウダーフリー 厚手
解体用ハンガー(大):猪鹿庁ハンターズショップ
捕獲した野生動物を解体する時に使用するハンガーです。
獲物の前足や後足の腱の部分に切れ込みを入れ、フックの部分に引っかけ、野生動物を吊るした状態で解体できます。フックの両端が尖がっているので、腱を引っかけやすいです。私はチンニングスタンド(本来は筋トレ用のスタンド)とロープとアッセンダー(クライミング用品)などを利用し、狩猟動物を吊り下げた状態で解体しています。
⇒ 解体ハンガー(大)猪鹿庁ハンターズショップ
止め刺し用ナイフ:COLD STEEL ボーイブッシュマン
猟師の間では有名なフクロナガサ(叉鬼山刀)のように柄の部分が空洞になっており、長めの木材や塩ビパイプを突っ込み、ボルトなどで絞めればヤリとしても使用できるナイフです。ナイフシースに小さなファイヤースターターが付属しています。
ただ刃が薄く、ハンドガードも無く、全て金属で作られているため滑りやすく、止め刺しの際、対象動物勢いよく刺したときに滑って自分の指を切ってしまいそうな構造をしています。このまま使うのは危険なので、私は刃側のハンドル上部に金属パテを盛り付け、指が刃側に滑らないようにしました。
私はフクロナガサ(叉鬼山刀)を持っていないので想像になりますが、、、値は張りますが刃の切れ味や耐久性などはブッシュマンよりもフクロナガサ(叉鬼山刀)のほうが上かもしれません。
⇒ COLD STEEL ボーイブッシュマン(楽天eナイフ)
解体用ナイフ:モーラナイフ コンパニオン
ヘビーデューティ カーボン/ステンレス
コスパが最高です。ラバーハンドルなのでグリップが良く、指が滑らないので安全性が高いです。ハンドル部もラバーなので遠慮せずガシガシ洗えるので衛生的です。
皮を剥ぐ時はステンレススチール。枝肉をばらす時はカーボンスチールと使い分けています。両方ともに切れ味を維持させるため、使用後は必ず砥ぐようにしています。
カーボンスチールは切れ味が高い反面、非常に錆びやすいので砥いだ後は、錆止めに椿油を刃につけています。ステンレススチールは錆びにくいというメリットがありますが、カーボンスチールの物より若干切れ味が落ちる感じがします。※カーボン素材のナイフ、ステンレス素材のナイフともに物によって切れ味・耐久性・防錆性はピンキリです。
⇒ モーラナイフ コンパニオン ヘビーデューティー カーボン(Amazon)
⇒ モーラナイフ コンパニオン ヘビーデューティー ステンレス(Amazon)
解体時用ゴム手袋:ニトルリグローブ パウダーフリー 厚手
野生動物の解体時に着ける使い捨てのゴム手袋です。特にこれといってこだわりはありません。ナイフで手を切ったら嫌なので気休め程度に厚手のものを使用しています。安全性があり、安くて使いやすいゴム手袋であれば何でも良いと思います。
⇒ 二トルリグローブ パウダーフリー 厚手(Amazon)
ニホンザルの調査や追い払い用の道具の紹介
サル追い払い用品:東京マルイ 電動ガン H&K USP/MP5A5(スタンダード)
テレメトリー調査セット:(八木アンテナとLR-03受信機)
サル追い払い用電動ガン東京マルイ H&K USP
H&K MP5A5
ニホンザルの追い払い作業で様々な道具を試しましたが、電動ガン(18歳以上推奨のもの)が最も追い払い効果があり、なおかつ楽に追い払うことができました。また電動タイプは冬の寒い時期の屋外でも問題なく使用できます。弾の飛距離は30m程です。花火系の追い払い道具は、火事になる危険性があるため私はあまり使いません。
※ガスガンは寒い時期だとガスを注入したマガジンを温めないと正常に動作しないものが多いです。
0.2g~0.28gのバイオ弾でも当たると服の上からでも痛みを感じます。追い払い行為だけではその地域のサル被害は無くなりませんが「サルにとってストレスを伴う追い払い行為」は人間と野生のサルとの適切な距離感を保つためにも必要な行為です。
※集団で計画的かつ継続的に追い払いを行うことにより更なる効果を得られます。
以前は東京マルイ H&K USPという電動ハンドガンを使っていましたが、中のモーターが壊れてしまったので、現在は同社のMP5A5(スタンダード電動ガン)を使用しています。
※土に還るバイオBB弾を使用
〇電動ハンドガン(USP)のメリットとデメリット
・コンパクトかつ軽量なので携帯性に優れており、ポシェット等に入れておけます。
・安いです。中古品であればヤフオクやメルカリで¥10,000以下で購入できます。
・マガジンにBB弾が一度に30発程しか入らず、連射で撃つとすぐに弾倉が空になります。
〇電動サブマシンガン(MP5A5)のメリットとデメリット
・別売りの連射マガジンを使えば一度に200発程のBB弾を装填可能です。
・MP5は伸縮するストックや折りたたみストック式のモデルがあり、
比較的コンパクトな部類ですが、作業中などに携帯するには若干大きめです。
・中古のスタンダードタイプのMP5A5で¥10,000~¥15,000です。
・ハンドガード内にバッテリースペースがあり、バッテリー交換が結構面倒です。
・MP5A5より更にコンパクトなサブマシンガンタイプの電動ガンもありますので
こだわりが無ければそちらを購入した方が良いかもしれません。
※現在東京マルイより「次世代電動ガン」というタイプの電動ガンが販売されています。これらは本物の銃に寄せて作られており、金属製のパーツが多く使われているため重厚感があり、また撃った時に反動があります。サバイバルゲームなどの趣味で楽しむ分には良いかもしれませんが「サルの追い払い」には向かないと個人的には感じました。
⇒ 東京マルイ H&K USP 18歳以上電動ハンドガン(Amazon)
⇒ 東京マルイ H&K MP5A5 18歳以上スタンダード電動ガン(Amazon)
⇒ 東京マルイ MP5 200連マガジン スタンダード電動ガン用(Amazon)
テレメトリー調査セット(八木アンテナとLR-03受信機)
発信機を装着した動物の位置を特定するためのテレメトリー調査セットです。
現在の現場では有害鳥獣に指定されているニホンザル(成獣のメス)に首輪型発信機を取り付け、その発信機の信号をもとにサル群の位置を特定し、群れの管理をしています。無指向性(全方位)アンテナを車に付けテリトリー地域を走り、サル群の大体の居場所を見極め、八木アンテナ(指向性)と受信機でサル群を詳細な位置を探索し、群れの頭数などを目視で確認します。
野生動物を拘束するための道具の紹介
カモシカ放獣用スネア
カモシカがくくり罠で錯誤捕獲された際、安全にカモシカを放獣させるための道具です。
1.5m程の塩ビパイプ、塩ビパイプの蓋、丈夫なロープ、ボルト、ナット、太目の針金、アイボルト、カラビナなどをホームセンターで購入し、製作しました。
「錯誤捕獲されたカモシカの放獣マニュアル」←こちらのサイトを参考に製作しました。
スネアの先端のロープの輪をカモシカの頭に通し、しっかりと輪が頭に通ったら塩ビパイプ末端から出ているロープを引っ張り、頭からロープが抜けないようにします。末端から出ているロープを塩ビパイプ後部に取り付けたアイボルトに巻き付けて固定し、ロープの輪が緩まないことを確認したら、近くの樹などの固定できる場所に余ったロープを巻き付けます。
その状態である程度拘束できていますが、作業者の安全を考慮し、先端のロープの輪に付けているもう一本にロープ(カラビナ付き)も他の樹に巻き付けます。
二ホンジカ固定用スネア:自作
走行中の自動車に跳ねられ足に大怪我を負い、立ち上がれず歩道に横たわっているけれど、体力はあり余っているような野生の二ホンジカも多くいます。そうした二ホンジカを処理する前に体を固定するためのスネア(角があるオス鹿にも対応)を作りました。
オス鹿の角が引っかからずに入るぐらいの輪のガイドを太目の針金で作り、そのガイドにロープを軽く固定するためのフック(私はクリップを使いました)を複数個作り、グルーガンで取り付けました。
錯誤捕獲されたカモシカの放獣と同じ要領で二ホンジカの首に輪を通し、スネア末端から出ているロープと輪に付いているカラビナと連結しているロープをガードレールの支柱などに巻き付け固定します。
※くくり罠での捕獲と違い、このケースの場合ニホンジカの両足は固定されていません。こうしたスネアのような固定器具がもう一つあれば、足も固定できより安全に処理を行うことができます。今年度は京都で二ホンジカによる人身被害(オス鹿の角が胸に刺さる)も起きています。ニホンジカといえど甘くみてはいけません。野生動物を相手に作業を行う場合は「どんなときでも安全第一」でいきましょう。